着物のコラム

久保田一竹が染め上げた着物の買取相場と保管の注意点

久保田一竹の辻が花染めの着物は、非常に人気の高い着物です。その繊細で美しい模様は見るものの心を魅了します。

久保田一竹の着物の買取査定金額の相場はどのくらいなのでしょうか。今回は、着物の保存方法やお手入れ方法と久保田一竹の着物買取の相場、久保田一竹の人物像などについてまとめてみました。


目次
久保田一竹はどんな人物?
一竹辻が花染めの特徴
久保田一竹の着物の買取相場と保管の注意点
まとめ

久保田一竹はどんな人物?

久保田一竹は、江戸時代初期に一度衰退してしまった辻が花染めを蘇らせた人です。絞り染めの歴史は古く、辻が花染めは奈良時代に登場したと言われています。大正6年神田に生まれた初代久保田一竹は、14歳の時に染色の道に入ります。20歳の時に辻が花染めの着物と出会い、魅了されました。しかし、その後、戦争に巻き込まれ、花染めの着物を扱うことはおろか、戦地に駆り出され何度も生死の境を彷徨うことになります。3年間のシベリア抑留を経て、31歳でようやく復員した久保田一竹は、生涯を辻が花に捧げる決意をします。

家族も生活も犠牲にし、研究に研究を重ね、長い年月を辻が花に費やしました。それから30年後、ようやく世間に一竹辻が花を発表することができました。独自の染色法を生み出した久保田一竹の辻が花染色は、他の辻が花とは区別されており、着物の中でも最高級ブランドと認識されています。

発表当時、久保田一竹の辻が花は大反響をよび、日本国内はもちろんのこと、海外からも高い評価を得られました。久保田一竹は、フランス芸術文化勲章シェヴァリエ賞や文化庁長官賞を受賞し、パリやニューヨークをはじめ世界各国から招聘され個展を開くようになりました。1994年、富士山の麓に久保田一竹美術館を開館し、今の時代にも久保田一竹の辻が花の手法は受け継がれています。現在は2代目久保田一竹が跡を継ぎ、後世に伝えていく役目を担っています。

一竹辻が花染めの特徴

辻が花とは、絞り染めを基調とした描き絵や刺繍、摺箔を併用した染物のことです。この手法は古く奈良時代には確立されていたといわれています。絞り染めは、布の一部を括り、括った部分が染まらないようにして布を染める手法のことです。布を模様にそって絞り込み、部分的に染めだすという複雑な手法もあります。染色されないように糸でぐるぐる巻きにし、色の変化を出します。

下絵に沿うように糸を入れていき、絞込みをした布を染色します。この工程は色ごとに行われますので、複雑な色合いを出すには多くの時間がかかります。すべて染め終えたら糸を解きます。実は、この糸を解くまで模様がどのようになっているのかは、誰にも分からないのです。多彩な絵模様を作るのには高度な技術を要します。特殊染料で幾重にも染め上げられ、仕立てられた着物は発色が美しく、ライトアップされることで更なる美しさを呼びます。

一竹辻が花の特徴の1つとして、特殊生地が使用されており、年月が経過しても縮むことがないという点が挙げられます。また、コバルトブルーの小さな星が絞りに入っています。これは、久保田一竹がシベリア抑留された際に、生きる勇気を与えてくれた星を意味していると言われ、一竹星と呼ばれています。久保田一竹が辻が花を発表した後、さまざまな辻が花が登場しますが、一竹辻が花は別格と言われています。

久保田一竹の着物の買取相場と保管の注意点

保存状態のよい着物は、着物の買取査定金額も相場以上になります。人気が高く、高額査定となるのが、辻が花染めの着物です。その中でも、一竹辻が花染めの着物は、他の辻が花と比べても類を見ない美しさで、海外から人気も高い着物です。希少価値が高く、買取相場は他の辻が花の2倍から10倍程と言われています。

初代久保田一竹が設立した一竹工房の作品も通常の着物の買取相場と比較すると、2倍から3倍以上になることがほとんどです。それほど初代久保田一竹作品の人気は高く、今後は新たな作品が世に出ることがないため、貴重な着物なのです。

着物の下前に落款がついているのですが、この落款が作家により異なるため、誰の作品かわかるようになっています。久保田一竹の落款も初代と二代目ではデザインが異なります。辻が花の着物の買取を依頼するときは、着物の落款が見分けられるお店、またその価値がわかるお店に依頼する必要があります。

着物の保管に関しては、着物は湿気が多いところで保管されていると、カビが生えやすいため、着用後はしっかりと陰干しして、湿気を完全に取り除く必要があります。ウール素材は、特に虫が好むため、正絹の着物とウール素材の着物は、分けて保管することをお勧めします。防虫剤を使う時は、化学反応を起こす危険性を考え、同時に多種類の薬剤を使用するのは避けた方が賢明です。

まとめ

今回は久保田一竹の着物の保存方法やお手入れ方法、久保田一竹の着物の買取相場、久保田一竹の人物像などについてご紹介してきました。一度衰退してしまっていた辻が花染めを蘇らせ、辻が花をはじめとして、繊細で美しい模様は見るものの心を魅了する着物を発表してきた久保田一竹。

ご自宅で眠っている久保田一竹の着物があれば、査定に出すことを検討してみてはいかがでしょうか。

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