着物のコラム

城間栄順(しろまえいじゅん)の着物と買取相場について


目次
城間栄順はどんな人物?戦禍を生き抜いた子供時代
城間栄順と、城間栄順の手がけた着物の特徴について
城間栄順の手掛けた着物の印象
過去に買取を行った城間栄順の着物の事例
まとめ

城間栄順はどんな人物?戦禍を生き抜いた子供時代

城間栄順(しろまえいじゅん)は、300年以上続く紅型宋三家「城間家」の15代目。日本工芸会正会員で「沖縄紅型」の代表的作家です。


1984年:城間栄喜・栄順展
2002年:日本伝統工芸会NHK会長賞受賞
2022年:3月に沖縄本土復帰50年と栄順米寿(88歳)を記念し「紅(いろ)の衣展」開催


沖縄県を中心に活動し、現在は城間びんがた工房を息子であり16代目栄市さんと共に営まれています。父栄喜さん譲りの職人気質と言われ、非常に情熱的でエネルギッシュな作品を生み出す作家です。
城間栄順は1934年城間家14代である父、城間栄喜、母ウシの元に長男として生まれました。栄順が小学校時代に沖縄は戦争の舞台となり、生まれ育った首里の山川を離れ、熊本県の阿蘇へ疎開し父母と離れて暮らすという大変な経験をしています。疎開先へ迎えに来てくれた父栄喜と共に2年ぶりに沖縄へ帰郷すると、思い出の沖縄の姿は焼失し、首里城はもとより首里の近くにあった城間家もなくなっていました。帰郷後に沖縄戦で母ウシ、末弟博が亡くなっていることを知り、その後すぐ下の弟真勝も病気で亡くし、元は6人家族だった城間家は父栄喜、妹道子、栄順の3人になりました。

城間家の14代目である父栄喜は何もかもなくなってしまったところから紅型をなんとしても復興しようとする強い意志を持ち、生涯を捧げました。アメリカ軍のゴミ捨て場から紅型の道具になりそうなものを探し、紅型の型を掘る小刀を製作したり、レコード盤でヘラを作ったり、布がない中、配給された小麦の袋を割いて紅型を染めたり大変な努力があったそうです。栄順はそんな父の強い意志と城間家の当主としての姿を見て、共に協力し、父を師とし、青年時代を過ごします。
また、父栄喜は「紅型」の後継者づくりに励み、栄順、道子も立派に紅型の技術を受け継ぎました。
紅型の復興を成し遂げた14代目栄喜、一度は消えかけた「紅型」を工芸からきもの界に拡大した15代目栄順として知られています。

城間栄順と、城間栄順の手がけた着物の特徴について

城間栄順は、伝統を守ることと同時に、時代に合わせて変化していくことの大切さを深く追求した人物です。ふるさと沖縄を心から大切に思い、色鮮やかな植物、透明な海を泳ぐカラフルな魚や貝といった海中の生き物までもが彼の紅型のモチーフとなっています。琉球紅型の図案は中国柄や和柄が多かったそうですが、機械化が進む中、失われかけた日本の大切な文化が沖縄に残っているということで、時代と共に「沖縄らしい植物や生物」を図案に用いるようになり、沖縄らしさは日本本土で好まれるようになりました。

城間栄順が手掛ける着物や帯の図案は、以前は用いられることがなかった海の生物や沖縄の動植物など、沖縄の自然そのものをモチーフとした作品が特徴です。日本本土では写実的な着物の柄が多い中、型紙を使って繰り返し模様を染める紅型では動植物や海の生き物の特徴を捉え、図案として描かれること、型紙から手彫りのため、線に小さなゆらぎがあることが独特のあたたかさや親しみを感じさせます。
城間栄順は、紅型の技法を工芸品の枠から人が着る「きもの」の世界へと発展させました。紅型が着物界で認められるまで苦しい時期が続いたそうですが、その間、海で魚を採り、食をつないでいた期間も多く、目の前にある魚の美しさ、海藻や海のモチーフが多く使われるようになったようです。その他、四季の境目が他の地域と比べて曖昧だからこそできる、春夏秋冬のモチーフを一枚の着物や帯の中に図案として描かれているものがあるのも沖縄ならではのデザインと言われています。

城間栄順の手掛けた着物の印象

城間栄順が手掛ける着物や帯には多くの海の生き物が使われています。透明な海に泳ぐ色鮮やかな魚、潮が引いた時に砂浜に顔を出す貝や貝殻、ゆらゆらと楽し気に波に揺れる海藻や波そのものなど、見ているだけで海の中を覗いているような、ワクワクした気分や元気をもらえる、沖縄のエネルギーに触れるような作品ばかりです。
沖縄の気候は温暖で、照り輝く太陽の光さえも日本の他の地域と比べて違いがあります。そのエネルギーを一身に浴び、生命力全てが表に出たような美しい赤や黄色、青など原色に近い色が多く使われており、ひときわ私たちを釘付けにします。特に藍で表現する青色が美しく、配色の巧みさ、ぼかしによる立体感はまるで図案そのものに生命が宿っているような印象を与えるものです。

過去に買取を行った城間栄順の着物の事例

城間栄順 琉球紅型 名古屋帯



お母さまの遺品整理とのことでご依頼いただきました。普段のお手入れもマメにされていらっしゃり、大事にされていたことが分かる素晴らしい一品でした。未使用で大変綺麗なお品物でしたので、高価買取となりました。

まとめ

紅型三宋家、城間家、知念家、沢岻(たくし)家のひとつである城間家15代目城間栄順についてご紹介しました。職人気質でエネルギッシュ、沖縄を心から愛する城間栄順の着物や帯は見るもの、着るものにエネルギーを与えてくれる為、非常に人気があります。2022年で88歳を迎えた城間栄順の作品は貴重であり、高額な買取査定が出ることも少なくありません。
城間栄順の帯や着物をお持ちで買取をお考えの方は、お気軽にザ・ゴールドにお問合せください。お近くの店舗またはフリーダイヤルにてご相談を承っております。

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