着物のコラム

由水十久作の着物買取

不要となってしまった着物を片付けたいと思った時、最近では、着物買取を利用するという方が増えています。着物は作家やデザイン、年代や素材などによって買取査定金額が大きく異なります。

今回は、友禅作家を代表ともいえる由水十久という人物について、また由水十久の作品とその特徴、買取査定金額の相場についてまとめてみました。


目次
由水十久はどんな人物?
由水十久の手掛ける着物の特徴
由水十久作品の買取相場
まとめ

由水十久はどんな人物?

1913年に生まれた由水十久は、昭和の加賀友禅を代表する作家で、加賀友禅協会が認める巨匠の1人です。1927年より京都で紺谷静焦に師事し、友禅染めの技術を学び始めました。10年以上修行をした後、故郷の金沢で着物作家としての活動を始めます。

徐々に評価を得るようになり、金沢だけでなく東京や大阪、神戸など全国で個展を開催したり写真集を出版したりと活躍をしていきます。1977年にはこれらの功績が認められて、伝統工芸士に認定されます。さらにその翌年には、石川県指定無形文化財加賀友禅技術保持者に認定されます。海外での評価も高くなり、個展も開催されるようになるなど、海外に友禅の魅力を広く伝えていきました。

着物だけでなく歌舞伎や能、茶道などの道にも精通していた由水十久の作品は、その唯一無二の世界観で今でもファンが非常に多くいます。着物の制作はもちろんですが、染色による大画面の壁画装飾や額装、軸の制作などにも取り組んでいました。残念ながら1988年、74歳に亡くなりますが、次男である二代目由水十久と長男の由水煌人氏が加賀友禅伝統工芸士として由水十久の名を継承しています。精巧な制作技術はもちろん、なごみと遊び心とお洒落心、という初代の由水十久が持っていた精神もしっかりと受け継いで現在も活動されています。

由水十久の手掛ける着物の特徴

加賀友禅は写実的な草や花などの自然のモチーフが多く、人物をモチーフとした模様はあまり多くはありません。そんな中で由水十久は人物をモチーフとした紋様の作品を多く発表しており、友禅における人物の造形方法を確立しました。

由水十久の代名詞となっているのが、唐子と呼ばれる童子が描かれた着物です。唐子とは釣り目、鉤鼻、おちょぼ口が特徴の中国風の髪型をした子供のことです。その童子を通して、由水十久は喜びや楽しさそして生命の喜びを作品の中に表現しています。

由水十久は加賀友禅特有の糸目糊置を巧みに使いこなし、色が混ざり合うことなく指先から髪の毛の1本1本、着物まで丁寧にそして繊細に描いています。また由水十久は着物において重要なのは、着姿であるという考えを持っていました。そのため正面から見た際はもちろんですが後ろから見ても、右から見ても左から見ても、360度どの場所から見ても綺麗に見えるようにこだわって着物を作っていました。そのこだわりの強さは、下絵を描く際に弟子に着物を着せて何百回もポーズをとらせながら調整をしていたほどです。

由水十久作品の買取相場

由水十久の着物は、そのデザイン性において現代でも非常に人気があります。特に初代由水十久の着物は希少価値が高く、買取査定金額の高さからもその人気が伺えます。もちろん着物の保存状態にもよりますが、状態が良いものであれば訪問着が10万から20万円、色留め袖であれば20万円以上の価格で買取されることもあります。その中でも、初代由水十久の作品はあまり世の中に出回っておらず非常に貴重ですので、さらに高く評価されることもあります。買取査定金額は状態によって大きく左右されてしまいますので、見える位置にシミが出来てしまっていたりカビが生えてしまったりすると買取査定金額は下がってしまいます。

買取査定金額を大きく左右するポイントとしてもう1つ重要なのが、落款(らっかん)です。由水十久が制作した着物には、価値を証明する落款が押されています。これは加賀染振興協会によって、加賀友禅手描技術登録者が制作したものであるということを証明するためのものです。由水十久という名前自体は受け継がれていますが、初代の落款は4角形で2代目の落款は6角形と違うものになっています。同じ由水十久の名前で作られた着物であっても、初代はすでに亡くなっており、今後新しいものが作られることはありません。そのため、4角形の落款はより希少価値が高くなっています。

まとめ

加賀友禅の着物作家の中でも稀有な存在であった由水十久の着物は、亡くなった後の現在においても非常に人気があります。人物をモチーフにしたり、細部まで繊細に制作したりと、着姿に徹底的にこだわり抜いていることが特徴であり、他の着物にはない大きな魅力となっています。そのため、買取を依頼した際には、状態が良ければ高額な買取査定が出ることも少なくありません。

また本当に由水十久が制作したものであるということが証明できる落款が押されていれば、より評価額は高くなります。由水十久作の着物をお持ちで、箪笥の中に眠っているものがあれば、お気軽にザ・ゴールドにお問い合わせください。お近くの店舗または、フリーダイヤルにてご相談を承っております。

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