着物のコラム

着物の紋とは?種類や格の違いも解説

若い時に人からもらった着物を、パーティに着ていったら、着物の紋がチグハグで、大きな恥をかいた。
とある機会に来店されたお客さまから、そんな体験談を伺ったことがあります。
知らない人が見ると、ただの模様に見えるその模様は、もしかしたら着物の「紋」かもしれません。
着物の紋には、実はルールがあり、紋の数や、種類によって、きていくTPOが変わることがあります。
この記事では、着物の知識がない方にはなかなか触れることのない、着物の紋についてのルールやマナーをご紹介します。
着物の知識を深めたい方や、紋のついた着物の買取を検討されている方、前述のような体験をしたくないかたは、ぜひ参考にしてみてください。

目次
着物の紋とは?
紋の種類と表現方法、入れ方について
着物につける紋の数
まとめ

着物の紋とは?

着物の紋とは、基本的に「家紋」を指します。紋は中国大陸から輸入されたもので、古くは家系や地位、自分の血統などを表すものとして用いられてきました。

日本で家紋が使われ始めたのは平安時代の武士紋が起源とされています。もともと紋は公家が自分の衣服や持ち物に目印として付けていました。その後、多くの武家が戦場で自軍を見分けるため、「旗印」として家紋が使用されるようになり、現在のように着物にも紋が用いられるようになったと伝えられています。
着物に入れる紋は、地方によって文化の違いがあります。関東の文化では男性・女性の区別なく家族で同じ家紋を入れますが、関西の文化では、女性は母方の家紋・男性は父方の家紋を入れるため、家族の中でも着物に入れる家紋の違いがあるようです。

また、紋の中には「通紋」と呼ばれる家紋があります。通紋とは、かつて貴族や氏族が家系や血筋を表すために用いた家紋が、江戸時代以降になって一般庶民の間でも家紋が使われるようになり、そうした特定の貴族や氏族ではない人たちが用いる家紋を指します。そのため現代では、自分の家紋がどのようなものか分からないという場合でも、家紋ではない紋が入っていることがあります。
通紋の例としては「五三桐の紋」をはじめ、「蔦の紋」「揚羽蝶の紋」などがあり、着物のレンタル店などで扱っている着物にも入っている場合があります。

次に、着物に入れる紋の種類についてお伝えします。

紋の種類と表現方法、入れ方について

家系、地位、血統を表す家紋は、およそ4,000種類もあるとされています。家紋そのものは膨大な種類があり、デザインの基となるモチーフは、自然や建物、道具、幾何学模様など様々です。

数多くある着物の紋を表現する方法も複数あり、表現方法によって格の高さが変わります。

日向紋(陽紋)

最も格の高い紋となります。紋の型全体を白地にして、黒などの着物の地色で模様をつける白抜きのようなイメージの表現方法です。白い部分が多く紋が明るいことから、日向紋は「陽紋」と呼ばれることもあります。

中陰紋

紋の型を太く白でなぞり、模様部分の描写が省略された紋です。格としては最も高い日向紋と陰紋の間に位置する紋で、着物の地色との調和を考えて日向紋ではなく、白い部分がより少ない中陰紋が付けられることもあります。

陰紋

型と柄の輪郭部分だけを白くなぞった紋です。白地の部分が少なく地色が多くなり、日向紋、中陰紋よりも格が下になります。略式の紋となるため、殆どの場合が一つ紋で表現されます。

紋の表現方法は基本的に白で抜かれている部分が多いものほど格が高いとされており、先ほどご紹介した3つの紋を格の高い順に並べると、「日向紋」「中陰紋」「陰紋」となります。 また、紋の入れ方でも、着物の格やイメージが変わります。格の高い順に4つの紋の入れ方をご紹介します。

染め抜き紋(抜き紋)

染め抜き紋は白生地から色柄を染める際に入れるもので、手間もかかり、日向紋になることが多いため、最も格の高い紋の入れ方となります。まず紋の型を作り、次に紋が白く残るところを染め抜いて、仕上げとして中に柄を描き足します。

石持ち入れ紋

染め上がった紋が入る部分をあらかじめ白い丸で染め抜いてある状態で、後から紋を描き足す技法です。後から紋を描くため、「描き紋」と呼ばれることもあります。石持ち入れ紋は染め抜き紋の入れ方の一つに分類されるため、同様に格が高い紋となります。

縫い紋

刺繍で紋を縫い付けるため、縫紋と呼ばれています。紋の線部分を表現するため、縫い上がった紋は陰紋となります。様々な色で刺繍を施す加賀紋も縫い紋の一つで、加賀紋は洒落紋と呼ばれることもあります。縫い紋は略式であるため、染め抜き紋と比べると格は下がります。

貼り付け紋

染めでも刺繍でもない紋の入れ方で、ワッペンのように紋を描いた生地を着物に貼り合わせます。一時的に紋を変える際や、うまく色が抜けない時などに利用されることが多い技法で、格としては最も低い紋となります。 紋の表現方法や入れ方の組合せでも格は変わり、染め抜きの日向紋が最も格が高いとされています。留袖や男性用着物、喪服には染め抜きの日向紋を用いるのが通例となります。また、格式の高い式典に和装で出席する際は、基本的に染め抜き紋が入った着物の着用を推奨します。

紋の表現方法や入れ方の組合せでも格は変わり、染め抜きの日向紋が最も格が高いとされています。留袖や男性用着物、喪服には染め抜きの日向紋を用いるのが通例となります。また、格式の高い式典に和装で出席する際は、基本的に染め抜き紋が入った着物の着用を推奨します。

着物につける紋の数

着物に入れる紋は種類が多い一方で、紋を着物に付ける際の数や位置には決まりがあります。紋の数は5つ、3つ、1つのいずれかです。
「五つ紋」は、一番格が高い紋の入れ方とされており、背中の背紋、両胸の前紋、後ろ袖の袖紋で合わせて5つの紋が入ります。五つ紋が入る箇所のほかに紋を入れることはありません。 「三つ紋」は背紋と袖紋で合わせて3箇所、「一つ紋」は背紋に紋が入ります。紋が入っている位置が正しくない着物は、基本的にフォーマルな場での着用に適していませんので注意が必要です。
正しい認識として、「五つ紋」は第一礼装で、「三つ紋」と「一つ紋」は略礼装と考えると良いでしょう。また、第一礼装となる色留袖は、五つ紋のほかに三つ紋や一つ紋を入れることも可能ですが、その場合は略礼装の扱いとなるため、第一礼装としては着用できなくなります。
なお、紋の大きさに厳密な決まりはありませんが、一般的に女性は直径5分5厘(約2cm)、男性は1寸(約3.8cm)とされています。

まとめ

紋は中国から伝わってきた文化であり、現代においては家紋や着物の格を表しています。紋入りの着物をお持ちの方は、ご自宅の着物にどのような紋が入っているのか、改めて確認してみてください。お持ちの着物への理解や愛着が一層深まるかもしれません。
また、紋が入っている着物の買取について、染め抜き紋などの格が高い紋が入っていて、査定金額が高値になったことがありました。着物に紋が入っていることで価値が下がる可能性もありますが、高い価値を持つ着物もあります。紋の種類や入れ方、状態などによっても価値は変わってきますので、着物が持つ価値を見極められる知識を持った専門家にみてもらうのが良いでしょう。箪笥に眠っている紋付きの着物をお持ちの方は、一度買取査定を依頼してみてはいかがでしょうか。

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