着物のコラム

老舗千總(ちそう)の特徴と歴史、買取相場について

千總は、室町時代の1555年に創業した京友禅の老舗です。
450年以上という長い歴史を持ち、一度は千總の着物を着てみたいと憧れを抱いた方もいるのではないでしょうか。千總ブランドは、「京友禅と言えば千總」と言われるほど、確固たるブランド力を形成しています。

この記事では、長い歴史を持ち、今もなお多くの人を魅了する千總の特徴やこれまでの歩み、そして、千總の買取相場や査定のポイントについてご紹介します。
千總ブランドに興味がある方や、千總の着物をお持ちで買取査定を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
450年以上の歴史をもつ着物ブランド「千總」とは
千總の特徴
千總の歴史について
千總の買取相場
まとめ

450年以上の歴史をもつ着物ブランド「千總」とは

創業以来、450年以上の歴史を誇る千總は、オリジナルブランドである「CHISO」を展開しており、京都にある直営店のほか、全国の百貨店や呉服販売店で購入することができます。 千總は、人生の節目を祝う際に着用する格式高い正装や晴着をはじめ、特別なひとときを華やかに彩ることをコンセプトにした着物を数多く生み出しています。さらに着物だけではなく、友禅の技術を活かした染織品の小物、アクセサリーなども展開しています。
着物や染織物、アクセサリーなどは、全国の百貨店などの取扱店で、直接手に取って見ることができる点も、千總の人気の1つとなっています。

千總の特徴

高い人気を誇る千總には、どのような特徴があるのでしょうか。
千總の特徴を、「素材」「デザイン」「職人」「オーダーメイド」、4つの観点から解説します。

素材

京都で友禅染という染色技法を用いて作られた着物である京友禅。千總の魅力を生み出す一つの理由として、素材に対するこだわりが挙げられます。

千總は、蚕を育て繭から糸を紡ぎ、生地を織り上げるまでのすべての工程を日本で行っており、生地作りから、美しい着物になるまで工程を一元管理することで、美しさや高い品質を保っています。
また、友禅の色合いを引き立てる織模様や着心地、風合いなどの魅力を最大限に活かせるよう、丹後に専属の機屋を設け、千總独自の白生地を織り上げています。このような千總のこだわりの表現可能にする環境作りが千總友禅を支えていると言えます。

デザイン

多くの人を魅了するデザインも、千總の着物が持つ特徴です。
千總には友禅の図案製作を行う図案室があり、在籍している専属の図案家が、日々デザインを生み出しています。千總に在籍する図案家の歴史は古く、明治時代にまでさかのぼり、現在でも千總のものづくりを独自のものにしている象徴的な存在と言えます。
千總にはこれまでに蓄積してきた約2万点にもおよぶ所蔵品があり、図案家が受け継いできたデザイン力や考察力が創造に正当性を持たせます。時代やシーンに応じたデザインを落とし込んだ図案が、千總の着物における独自性の源であり、専属の図案家も千總に欠かせない存在です。

職人

芸術的なデザインを美しい京友禅の着物として作り上げる職人も、千總の特徴として挙げられます。
数多くの着物の中でも、千總の手描き京友禅はいくつもの工程を経て一つの反物が出来上がります。完成までの工程それぞれに高い技術を有した職人が存在し、千總の美学を着物に昇華させます。
高度な技術を持つ職人達が互いに高め合いながら、各工程を専門に担当しています。そんな千總を支える職人たちの結束と技術が、千總友禅の確かな品質や魅力を創り上げています。

オーダーメイド

人気の高い千總の着物は全国の取扱店に流通していますが、千總はオーダーメイドも受け付けているため、世界に一つだけの着物を手にすることができます。 「おあつらえ」は、自分だけの着物が欲しい方にとって最適なオーダーメイドサービスです。千總の歴史ある資料や技術見本を参考に、図案家や着物を製作する職人とも話しながらものづくりが体験できます。
また、名入れ、紋入れ、加飾を行なってくれるカスタムオーダーも可能で、千總の着物であれば、購入後の商品でも自分好みの加工が可能です。

千總の歴史について

上述した千總の特徴は、450年以上の長い歴史を経て生み出されました。
室町時代の創業から現代まで、千總が継承してきた伝統と革新の歩みをご紹介します。

室町・江戸時代

千總は1555年、京都烏丸三条に法衣装束商として創業しました。当時の烏丸三条は法衣商が多く集まっていたとされ、その中で千總も商売を発展させます。
江戸時代には顧客も増え、御装束師として東本願寺を始め、門跡家や宮家へ装束を調進。その当時は、暖簾分けした分家が百軒余りもあったとされています。
後に千總が名を馳せることとなる「友禅染」の染織技術も、扇絵師として知られる宮崎友禅斎によって江戸時代に生まれたと言われています。

明治・大正時代

明治時代に入り、千總は友禅染を商いの主軸に据えました。
当時の千總当主であった十二代西村総左衛門が、友禅染の下絵を日本画家に依頼して従来のデザインを一新。これまでの友禅染を革新して新境地を切り開きます。
千總は近代京都画壇を代表する画家たちに友禅の下絵を依頼しながら、当時の情勢によって仕事が激減していた画家たちの生活を支えることとなり、パトロンとしての役割も担ったとされています。

千總は新しい技術の開発にも取り組み、数々の作品を生み出して発表を行い、国内外の博覧会で多くの賞を獲得しました。
ビロード地に友禅染を施して一層の奥行きを表現することに成功した「天鵞絨(ビロード)友禅」は、後に宮内省の御用達となるなど、高い評価を得ます。
「天鵞絨友禅」のほかにも、明治時代に入り表現が可能になった写し友禅の技術をいち早く取り入れた「鴨川染」は、千總が日本画家に依頼していた下地のデザインとも相まって人気を博しました。
伝統的な織物に斬新なデザインや新技術を取り入れる千總のスタイルは現代にも受け継がれており、明治時代から海外にも貿易の拡大を行なった大正時代には確立されていました。

昭和

昭和初期、京都の染織業は軒並み苦境に陥る中で、千總は「西村總染織研究所」を設立し、織物に関する様々な技術の保存と継承に努めました。
戦後、千總はいち早く復興を果たして、守り抜いた技術で着物製作を重ねます。高度経済成長による発展も経て、昭和33年には皇太子明仁親王のご成婚に際し、美智子妃殿下をはじめ、各宮家の調度品を受注するという栄誉を得ました。
献上した調度品の中でも、源氏物語から着想を得て、御所解文様を描いた友禅着尺「初音御所解」は、着物の名品として知られています。

平成・現在

平成から令和にかけて、千總は現代も国内外のアーティストやファッションブランドとコラボレーションを行うなど、友禅の新しい可能性を追求し続けています。サンダルやトランクケース、筆記具などいくつものコラボレーションが行われ、どれも千總の美学を取り入れた和の趣のある美しさが評価され、人気があります。
友禅が持つ可能性を革新する一方で、千總の生地にも使われている純国産絹を始めとした伝統産業の振興を担ったり、文化財の保存や活用のための調査研究機関「千總文化研究所」を設立したりと、日本の伝統を守る活動も積極的に行なっています。
千總の技術を結集して、友禅染の最高傑作とも称される、重要文化財「束熨斗文様振袖」を復元・製作したことも話題になりました。
創業以来、織物や着物の伝統を守りながら革新を続けている千總の歩みも、大きな魅力の一つです。

千總の買取相場

長い歴史を持ち、高級呉服として今でも人気を博する千總の着物の買取相場や、高額査定のポイントをご紹介します。

中古の着物を査定依頼に出した場合、千總のような老舗の人気ブランドは高額査定となる傾向にあります。
千總には振袖、訪問着、黒留袖、小紋など様々な種類の着物があります。
量産された着物ではなく、素材から職人が手間ひまかけて完成された千總の着物は、一つひとつの着物が高く評価されています。
特に、振袖や訪問着は高値が付く傾向にあります。

現在、多く流通している千總の着物には、色無地や小紋を除く特定の作品に「千總謹製」と書かれた四角の落款が入っており、その落款があるかどうかも高額査定のポイントです。落款とは落成款識(らくせいかんしき)と呼ばれ、誰の作品であるのか、どこで作られた作品であるのか等細かい情報を示す名札のような役割を持ちます。
なお、千總の落款が入っている着物と併せて、京友禅協同組合連合会が認定する証紙があると、査定依頼に出した際、更に高値が付くこともあります。「京友禅証紙」とは、その着物が友禅染の技法を用いて染められた作品であり、京都産でもある証として貼付けられたものです。
千總の着物をお持ちで、買取査定を依頼することを検討している場合は、証紙や落款の有無を確認することをおすすめします。

また、どの着物にも共通して言えるポイントですが、着物の保存状態が良いほど、査定金額も高くなる傾向にあります。
たとえ新品で購入して、日頃の手入れを行いながら保管していたとしても、着物は繊細な素材で作られているため、経年劣化します。
黄ばみなどの変色やシミ、虫食い等が着物に出てしまうと、査定金額にも影響するため、着る機会のない着物は早めに査定依頼をすることをおすすめします。
人気がある千總の着物はニーズも高いため、箪笥で眠っている、という場合はぜひ一度専門家に相談してみましょう。

保存状態以外にも、着物の丈もポイントの一つです。
着物の長さが163cm未満だと次に着用する人の身長に制限が出るため、需要がなく買取額が低くなる傾向にあります。着物が小さい場合は、後から竹を伸ばす調整ができませんが、大きな着物であれば丈を詰めて調整がききます。
そのため、仕立て直しができる長い丈は査定アップのポイントとなります。

着物の買取を依頼する際には、価値を正しく見極める知見を持っている査定士がいる着物の買取専門店をお勧めします。とりわけ、千總のように人気が高く有名な着物作品は、種類や状態によって買取査定に大きく影響します。リサイクルショップや質屋、インターネットのみで展開している無店舗型の買取サービスなどでは、その価値を見極めきれない場合もありますので、注意が必要です。大切な着物を少しでも高く売りたいとお考えの場合は、着物が持つ価値を正しく見極めてもらえる専門知識や査定経験を有する着物の買取専門店に査定を依頼するのが良いでしょう。

まとめ

創業450年以上の歴史をもつ千總は、高い人気を誇る着物ブランドです。京友禅を代表する染元としてその地位を確立しています。
京都の烏丸三条に店舗を構えてから今日まで、時代の変遷とともに千總は発展を遂げてきました。苦難の時にあっても、友禅染の伝統を守り抜きながら革新を追求し続けてきた千總には、独自の強みや魅力が数多くあります。絹素材から京友禅の元となる白生地、明治時代からデザインを手掛けて千總を後押ししてきた図案家、そして一枚の反物を完成させるまでの数々の工程を担う職人。その全てが千總の特徴であり、魅力です。
この記事をきっかけに、千總の着物を実際に手にとってみるなど、着物の世界を一層楽しんでみてください。また、着る機会のない千總友禅をお持ちの方は、着物以外の染織品やアクセサリーも併せて、ぜひ一度、着物の買取専門店へ査定を依頼してみてはいかがでしょうか。

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