着物のコラム

反物は買取できる?相場や高く売るポイントも解説


目次
反物って何?使用用途と種類を解説
反物の「仕立て」について
反物の価値を見極めるには?
反物の価値は素材によって変わる?
反物にはどんな種類、伝統工芸品について
反物の保管はどうするのが良い?保管に気を付けるべきポイントをご紹介
まとめ

反物って何?使用用途と種類を解説

「反物」とはどういったものを指すのでしょうか?
その呼び名は、長さを表す単位「反(たん)」から来ており、大人一着分の着物を仕立てる長さを「一反(いったん)」と呼んだことに由来します。和服を仕立てる前の生地を巻物の状態にしているものを「反物」と呼び、木や紙、プラスチック製の芯に巻かれたものです。あなたもきっと呉服店などで見たことがあるでしょう。

「反物」と一言に言っても実は着物に限らず、長襦袢、コート、帯等はどれも仕立て前は反物の状態です。
着物や帯は着用する方のサイズに合わせて仕立てるものです。呉服産業の最盛期は昭和50年代前後ですので、ひと昔前は着物の仕立てを職業としている人が今と比べて多くいました。 家族や親戚の中で仕立てが出来る人がいれば、呉服店で反物を購入して自宅で仕立てる、知り合いに頼んで仕立てて貰うということもあったでしょう。「気に入った生地を購入して、仕立てるつもりがそのままになってしまった…」と、反物のままでご自宅に保管されているケースも多いようです。

反物の「仕立て」について

反物は、着物や帯、長襦袢やコートなどに変化していきますが、着物とコートでは必要な反物の長さが異なります。また、振袖では袖が長い分、長い反物が必要です。このように、これから何に仕立てるかによって、反物として必要な長さや幅が異なります。「現代もの」の着物一着分は、おおよそ幅38㎝、長さ12mが主流です。これを「着尺」と呼び、他には羽織やコート類の反物を「羽尺」と呼びます。着物よりも羽織の方が仕立てに使う生地が短いことから、このような呼び分けをします。

反物状態の帯は、九寸名古屋帯の方が八寸名古屋帯よりも反物の状態では幅広となります。どちらも仕立て上がりの幅は同じですが、仕立て方法が異なるため、このような違いが出てきます。さらに現代の人と昔の人を比べると体格が異なるため、現代では女性ものでは幅40㎝、男性ものでは幅42㎝の着尺や羽尺の反物も流通しています。かえって、時代を遡ると反物幅が36㎝程度のものが主流の時代もあります。


このように一口に反物と言っても多くの種類や用途があります。保存状態の良い反物をお持ちの場合は、今後、着物や帯として仕立てることが可能です。もし着物や帯と一緒に、反物の買取りを考えている場合は、買取専門店「ザ・ゴールド」のように、反物も取扱いしている着物専門店に査定依頼することをお勧めします。

反物の価値を見極めるには?

多くの反物がある中で、どのような反物に高い価値がつくのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?その答えは、着物や帯と同じく、希少性があるもの、人気が高いもの、保存状態が良いものに価値があります。

希少性がある反物とは?

人間国宝である作家の場合や重要無形文化財保持者の反物が希少性があります。手描き友禅の田畑喜八、京加賀友禅の上野為二、辻が花の久保田一竹など多くの作家が挙げられますが、名前を挙げた作家以外でも「作家もの」の反物は、衣類としての着物の価値を超える作品、芸術品とも言えるでしょう。また、「作家もの」の反物には、下前の衽部分に落款があるのが特徴的です。

人気が高い反物とは?

例えば、鹿児島県の大島紬はオシャレ着として非常に人気が高く、着物を愛する人の多くが「欲しい」と思う着物です。人気があるということは、多くのファンがいますので、反物としての価値が上がります。大島紬を例に挙げましたが、他にも産地特有の織り方や染め方で、名が通っているものは人気が高い反物として価値があります。他に人気が高い反物の一例として、茨城県の結城紬、沖縄県の琉球紅型、愛知県の有松絞などがあります。

保存状態が良い反物とは?

保存状態が良い反物とは、ヤケやシミやカビ、虫食い等がない反物です。着物生地は年単位、長期間そのままにしておくとヤケ、シミ、カビ、虫食いが起きてしまいがちです。せっかくの反物もダメージがあると価値が落ちてしまいますので、適切なお手入れ・保管をすることが大切です。保管方法について後半で触れていますので、そちらをご参照ください。

反物の価値は素材によって変わる?

保存状態が良いことが前提になりますが、一般的に高い価値が付く素材は「絹」です。絹100%で織られた反物を「正絹」と呼びます。着物の素材は絹の他にもウールや木綿、麻やポリエステル等がありますが、素材としての価値は絹には敵いません。一概には言えませんが、ポリエステルなどの化学繊維を使ったものは大量生産品となります。多く生産、流通しているということはそれだけ価格も安価であることが多いですので、ポリエステル製の反物は買取相場は安くなる傾向があります。他にもウールや綿製の反物は、普段着寄りの着物のため安くなる傾向があります。
帯の反物では、金糸銀糸が使われているものは、それだけ材料も高価になりますので、買取相場は高い部類に入る可能性が高いです。時々あるケースですが、一度仕立てた着物を「洗い張り」に出して反物状態になっていることがあります。広げてみると、一度ハサミを入れた反物であることが分かります。この場合は、買取価格が安くなるまたは値段が付かない場合もあります。

反物にはどんな種類、伝統工芸品について

着物や帯には有名な産地や技法がありますので、地域ごとに有名なものをご紹介いたします。
伝統的工芸品として指定があるもの、生産過程が無形文化財として指定されているものなどは、反物の端に証紙が付いていますので、お手元に反物がある方は、それがどのような価値があるかどうか確かめてみましょう。

  • 結城紬(茨城県|栃木県)…重要無形文化財・伝統的工芸品・ユネスコ無形文化遺産
    真綿から紡いだ紬糸で寄りのかからない無撚糸で織られた織物。軽く温かいのが特徴。結城紬の中でも「本場結城紬」は最も手が込んでおり、国の重要無形文化財に指定されています。
  • 小千谷縮(新潟県)…伝統的工芸品
    独特のシボがあり、夏の着物として愛用されています。2~3月頃、1週間~10日ほど雪の上に生地を晒す雪晒しの工程は有名。
  • 塩沢紬(新潟県)…伝統的工芸品・ユネスコ無形文化財
    越後上布の技法を取り入れた絹織物。使用する糸の違いで本塩沢(塩沢お召)、塩沢紬、夏塩沢などがあり、他の紬と比較すると生地が薄くさらりとしているのが特徴。
  • 本場黄八丈(東京都)…伝統的工芸品
    八丈島に自生、または栽培された草木で染色を施した絹織物。色は黄、黒、樺の三色のみで縞模様や格子などのシンプルな柄が特徴。
  • 有松絞(愛知県)…伝統的工芸品(有松・鳴海絞りとして)
    浴衣地として人気の絞り染め。布を括る、縫う、たたむなどして染料に染まらない部分をつくるもの。絞りの模様は100を超えると言われるほど多彩。
  • 阿波しじら(徳島県)…伝統的工芸品(阿波正藍しじら織として)
    夏に着物としても浴衣もしても着用できることで人気の阿波しじら。しぼがあるため肌ざわりが良く、夏に愛用されます。阿波正藍で染められたものが伝統的工芸品に指定されています。
  • 大島紬(鹿児島県)…伝統的工芸品
    世界三大織物のひとつとして数えられる。奄美大島の織物。テーチ木(和名:車輪梅)から採れる染料で染めたものを泥で洗う工程を経て作られる。繰り返し80~100回行うことで艶のある美しい黒色に変化するのが特徴。
  • 宮古上布(沖縄県)…伝統的工芸品・重要無形文化財
    沖縄県宮古島で生産される苧麻と呼ばれる麻で織られた織物。上布の中でも最も軽く、最高級品として扱われます。現在では年間に20反しか生産されない非常に貴重なものとなります。

反物の保管はどうするのが良い?保管に気を付けるべきポイントをご紹介

基本的に反物は、箪笥の中や扉付きの場所に保管することが好ましいです。

特に素材が絹の場合は、日光に弱く、紫外線や蛍光灯による「ヤケ」を起こす可能性があるので、長期間保管する場合は光から遮ることが必要です。また、「湿気」にも気を付けましょう。「日光に気を付けなくてはいけない」という想いから、暗いところに長期(年単位)保管しておくと湿気がこもり、カビが生えてしまいます。

本来ならばこれから素敵な着物や帯へと変化するはずの反物にカビが生えてしまっては、最悪の場合、仕立てることが困難になります。年に2回程度は、空気にさらしましょう。その際に、反物を全て広げる必要はありません。箪笥に保管してある方は引き出しを少し開けて2~3時間そのままにしておくだけで空気が通り、湿気を飛ばすことができます。反物が桐箱に入っている場合には桐の箱を開け、和紙や購入した際の紙に包まれている場合は紙を開いて中身を確認してください。

また、着物類を空気にさらすタイミングとして、晴れが2日以上続いた「カラッとした湿度の低い日」に行うのがベストと言われています。「大切な着物にカビが生えてしまった」というのは珍しくないことです。着物は生き物と同じく、定期的なケアが必要なものですので、年に2回程度は行うようにしましょう。

最後に、反物を素材別に保管することも重要です。

仕立ててある帯や着物と同じ場所で保管する場合には、「素材」にも気を付けましょう。箪笥の場合は、引き出しの段を分けておくと良いでしょう。これは虫食いの予防になります。着物の虫食いはウールから絹へ虫が移ることから起こります。反物にはその産地や素材、長さを表す証紙が付いていますので、証紙を確認して素材を判断するようにしましょう。

まとめ

前半では、基本的な反物の知識について、まとめてみました。
着物、長襦袢、帯やコートといったお仕立て品ごとに反物の長さや幅が異なること。反物の価値を見極めるには、作者・産地・メーカーなどがポイントとなること。希少性がある反物、人気が高い反物、産地ごとの伝統工芸品の紹介、最後に反物の保存方法について記載しています。
着物と接する機会がないと、なかなか見ることのない反物ですが、お手元に反物をお持ちの方、箪笥にしまったままの反物をお持ちの方は、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

こちらでご紹介したことはあくまでも一般的なことになりますので、実際にどのような価値があるのかは、直接拝見しないと判断はできません。もし、着物や反物について、買取査定を検討されている方は、ぜひ着物買取専門店「ザ・ゴールド」にお任せください。

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